S名人と金谷のタチウオ釣りに行ったときだった。名人がバックから不思議なものを取り出した。金属製の棒にタチウオの仕掛けが何本か巻いてある。ちょっと見ただけではどういう仕組みで巻かれているのかわからないが、整然とコンパクトに巻かれているのを見て、直感的に便利な道具だと感じた。
釣れているときの仕掛け交換は時間との戦いだ。もたもたしていると時合いを逃してしまうし、あわてると手前祭りなどのトラブルが起きやすい。簡単に巻けて手際よく交換できる仕掛け巻きがあればさぞかし便利だろう。釣り具ショップで売っている仕掛け巻きはいまいち使いにくいので、これまでDIYで材料を買って自作してきた。といってもたいしたものではなく、タッパーのサイズに合わせてウレタンの板を切って、端にラバーを貼り付けただけのものだ。鈎はウレタンに刺したりセロテープで貼ったりした。この仕掛け巻きは鈎がはずれやすく、大きい鈎だと使いにくいのが欠点だ。
名人の仕掛け巻きは、太い棒の上に3本の細い棒が立っていて、細い棒に鈎を引っかけてエダスや幹糸を巻くようになっている。エダスと幹糸を交差させて引っ張るので、エダスがゆるんで鈎がはずれることがない。細い棒の間隔が同じではないのがポイントで、エダスの長さや幹糸の間隔によって3本の棒を使い分けるようにする。それでどんな長さのエダスにも、どんな間隔の幹糸にも対応できるようになっている。胴突き仕掛けはもちろん天秤仕掛けの3本鈎4本鈎仕掛けも巻ける。長いハリスを何本も巻くのにも便利だ。仕掛けの最後はゼムクリップに引っかけて輪ゴムで細い棒に固定する。
名人の仕掛け巻きと書いたけれど、仕掛け巻きそのものは漁師が考え出したものらしい。「名人の」と付けた理由はその材質にある。以前名人が市販の仕掛け巻きを使ったら、仕掛けの張りで仕掛け巻きが曲がってしまい、巻いていた仕掛けが勝手にほどけてしまったらしい。そこで名人は知り合いの鉄工所の社長に頼んで、曲がりにくいステンレスでこの仕掛け巻きを作ってもらったのだ。ステンレスだから錆びに強く耐久性も向上した。
そんな便利な仕掛け巻きをまた発注すると聞いたので、1本1,000円で分けてもらった。市販のプラスチック製の仕掛け巻きが600~700円なのでちょっと高いが、耐久性と使い勝手を考えたらお得な買い物だと思う。これも一生モンの道具だろう。

マルイカスッテとムツ仕掛け(5本鈎)
ムツの仕掛けは2本巻いてある

スズキの鈎
長いハリスにも使える